能あるイケメンは羽目を外す
17、必死の懇願
東京に戻ったその日から、陽斗の日常は大きく変わった。

杉原さんと専務室にこもって長く打合せをする時間が増えたし、うちの会社の他の役員とランチに出掛けたり、会議にも真面目に出席するようになった。

家に帰っても睡眠時間を削って明け方まで仕事をすることも珍しくない。

体調がちょっと心配になるけど、横で見ていてバリバリ仕事をする陽斗が凄く素敵だなって思う。

優しく微笑む姿も好きだけど、仕事に集中してる時の陽斗を見てると自分も頑張らなきゃって気になる。

今の陽斗は私の元気の源だ。

会議をすっぽかして逃げていたあの日々が嘘のよう。

この数日で、役員の陽斗を見る目が変わったように思える。

今まではグータラ息子と呆れた目で見ていた役員だったけど……今では一目置いている。

副社長のやり方を良く思わない役員を味方につけ、水面下で陽斗は役員の票集めをしている。
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