能あるイケメンは羽目を外す
バーの中には、彼女に視線を向ける男が数人した。

他の男には渡せなくて彼女を仕事でいつも使っている部屋に連れ込んだが……。

「さすがの俺も理性のたがが外れたか?」

額を押さえながら俺は自嘲する。

出来るだけ優しく抱いたつもりだが……楓が初めてだったのは想定外だった。

昨日結婚するはずだった女が今時経験がないって……普通は考えないだろ?

楓が初めてと気づいて抱くのはやめようとしたが、彼女は俺から離れなかった。

「……お願い。止めないで」

そう俺に懇願した楓。

あんな風に傷ついた目で言われて抱きつかれたら、止められるわけがない。

経験がなかったのに一夜だけと懇願した楓。

もし……あの場に俺がいなかったら、どうなっていただろう。

一人大人しく家に帰ったとは思えない。
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