能あるイケメンは羽目を外す
18、魔法の呪文 ー 陽斗side
「あっ……」

楓が用意してくれた夕食を完食して、トレーに乗せようと茶碗を持ち上げると、茶碗は俺の手から滑り落ちガシャンと音を立てて割れた。

「やっちゃったな。楓に怒られるかな?」

苦笑しながら自分の手と割れた茶碗を交互に眺める。

俺にしては珍しい。こんなミス。

疲れている訳ではないのに……何で?

それとも……自覚してないが疲れているのだろうか?

でも……何だろう?妙な胸騒ぎがする。嫌な予感……。

気のせいならいいのだが……。

「秘書室から掃除機持ってきますよ」

杉原が椅子から立ち上がるが、俺はニコッと笑ってこいつを止めた。

「楓がいるだろうから、俺が取りに行くよ」

スタスタ歩いて専務室のドアを開けると、楓の叫び声が聞こえた。

「いやー!」
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