能あるイケメンは羽目を外す
片桐の唇は血が滲んでいた。

恐らく楓にやられたのだろう。

「煩いんだよ。このお坊っちゃんが!」

俺に飛びかかろうとする片桐を杉原が腕をつかんで制する。

「無駄ですよ。二対一じゃ分が悪すぎるし、私も専務もあなたのような雑魚の手を捻るくらい簡単です」

片桐に冷ややかな視線投げると、杉原は早速手加減なしに実践して片桐の腕が折れそうなくらい捻り上げる。

「いてっ!離せ、杉原!」

片桐が声を荒げて抵抗するが、杉原は涼しい顔で手に力を込めた。

「無駄だと言ったはずですよ。馬鹿は救いようがないですね」

杉原が蔑むように片桐を見て、毒を吐く。

杉原がいてくれて良かった。

俺だけだったら……片桐を殴り倒していたかもしれない。

今この瞬間も片桐を殴りたくて俺の右手の拳がブルブルと震えている。
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