能あるイケメンは羽目を外す
もちろん楓にそんな辛いことはさせられない。

だが、絶対に泣き寝入りはしない。

「させないだろうね」

俺はフッと微笑する。

「アメリカ支社に行ってやるよ。だが、二年後に戻ったら俺にそれ相応のポストを用意しろ」

片桐は主導権は俺にあると言わんばかりに横柄な態度を取る。

「それ相応ね。……まあ、良いだろう」

心の中で「身の程知らずが」と蔑んで、片桐に向かって軽く頷く。

「意外と話がわかるんだな」

人を馬鹿にしたようなこの物言い。

顔を見るのも忌々しい。

「明日には辞令を出す。もう下がっていい」

片桐が口元に笑みを浮かべながら後ろ手を振って退出すると、杉原が不満そうに口を開いた。
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