能あるイケメンは羽目を外す
杉原が配った書類を見た翔馬の目が大きく見開くのを見て、俺はほくそ笑んだ。

俺は会議室の中央に立ち、役員達を見据える。

「今日は議題に進む前に、一つ重大な報告があります。社長の沖田誉は病気療養のため、本日付けで社長を退任します」

俺の言葉に役員がざわめく。

まあ無理もない。

社長が病気で倒れた事を知っているのはここでは俺と杉原だけなのだから……。

「社長の復帰は望めません。新しい社長を選出しなければなりませんが、その前に私が提出しました副社長沖田翔馬解任の緊急動議の採決を取らせて頂きます」

俺を睨み付ける翔馬の目を見ながら、俺はシナリオ通りに事を進める。

ソレイユの現在の経営状況、翔馬と政治家との癒着、カジノで翔馬が会社の資金を不正使用した事実などを説明した。

途中、何度も翔馬が反論のために割って入ってきたが、俺と杉原が揃えた証拠は完璧でこいつの反論に耳を貸す役員は一人もいなかった。
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