能あるイケメンは羽目を外す
翔馬は血がにじむほど唇を噛み締め、ギッと俺を睨み付ける。

俺はそんな翔馬をじっと見据えながら、心の中で呟いた。

親父との縁が切れれば、その時はお前を会社の金を不正利用したとして刑事告訴してやるよ。

混乱はあったものの予定通り会議を終え、俺はその日の仕事を終えて帰宅した。

家にはこの二日間会社を休んでいた楓がいて、俺が帰宅すると笑顔で出迎えた。

まだ頬の痣が治っていないけど、彼女がこうして笑えるようになったのが嬉しい。

「お帰りなさい。無事に終わったの?」

「まあ予定通り。副社長を解任して、俺が社長に就任したよ。これからもっと忙しくなるだろうから覚悟してね」

「じゃあ、いっぱい食べなきゃね」

楓が俺に向かってにっこり微笑む。

「今日は何作ったの?この匂いはビーフシシュー?」

玄関を開けた時から、この美味しそうな匂いが気になってた。

「ちょっと惜しい。ビーフストロガノフですよ」

クスッと笑って楓が訂正する。
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