能あるイケメンは羽目を外す
だが、本気になって何が楽しい?

幸か不幸か俺は昔から勉強もスポーツも何の努力をしなくても出来た。

だが、何でも出来てしまって逆につまらなかった。

目標がすぐになくなる。

俺は杉原に悪びれずに答えた。

「そのまさかだけど。杉原、三十分後にホテルに迎え頼む」

『夜遊びしてたのに、そんな偉そうに命令しないで下さい。たまには自分で電車に乗って出社してはいかがですか?』

杉原が俺を冷たく突き放す。

そっちがその気なら……。

「頼むってちゃんとお願いしたんだけど。電車に乗っていいんなら、会社休んで行けるとこまで行っちゃうけど、いいの?」

クスッと笑いながら杉原をからかうと、こいつは電話の向こうでわざとらしく盛大な溜め息をついた。

『自分が専務って自覚ありますか?いくら社長の息子だからって、だらだらと休んでいるとそのうち本当に首になりますよ』

「別に首になってもいいけど。好きで専務になったわけじゃない。社長の息子が必ず会社を継がなきゃいけない法律なんてないしね。何なら、お前が専務をやれば?」
< 27 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop