能あるイケメンは羽目を外す
20、ハッピーウェディング
「杉原さん、すみません。こんな事までお願いしてしまって」

今、私は杉原さんと一緒に教会の扉の前で待機している。

今日は私の結婚式。

もちろん結婚相手は杉原さんではない。

陽斗の社長就任が決まったその日、彼は私にプロポーズした。

人生って何が起こるかわからない。

陽斗と出会ったあの日、私は人生で最悪な日を経験したはずなのに、その夜彼と運命的な出会いをするとは思わなかった。

陽斗のプロポーズの一週間後には入籍し、私の名前は沖田楓になった。

でも、仕事では成沢で通しているし、名前が変わったと実感する機会は少ない。

だから、沖田楓と呼ばれてもピンとこないこともしばしばある。

陽斗には「仕事も沖田でいいんじゃない」って言われるけど、同じ職場に同姓がいるって結構不便なんだよね。
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