能あるイケメンは羽目を外す
目の前が真っ暗になった。悪夢だったらどんなに良かっただろう。

式は当然中止。

私にずっと付き添っていた会社の同期の親友が、溜め息をつきながら困った顔で教えてくれた。彼は受付の若い女の子とよく会っていたって……。

親友には忠告されていた。彼は女遊びが激しいって噂があるから気を付けなさいって。

でも、私は彼の「君を愛してる」って言葉を信じた。

二十六年間ずっと彼氏なんていなかったから、甘い言葉を言われて浮かれていたんだと思う。

式が中止になって彼のご両親は平謝りだった。そんなご両親を私はウェディングドレスを着たまま呆然と眺めていた。

営業部のエースでイケメンの彼は、誰もがうらやむ私の自慢の婚約者。

付き合って三ヶ月で結婚。順調だと思っていたのに……。

何がいけなかったのだろう。
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