能あるイケメンは羽目を外す
神様は残酷だ。

よりにもよって結婚式当日に彼に振られるなんて……。

私だけが浮かれていたのかもしれない。

自分が彼に裏切られているとも知らず、私は結婚式のこの日を指折り数えてた。

社会人になってからコツコツ貯めてきた結婚資金三百万も花火のように一日でなくなった。

式の当日のキャンセル料は百パーセント。お金は一円も戻ってこない。

この惨めな結婚式のドタキャンは……私を不幸のどん底に突き落とした。

一生の憧れだったウェディングドレスは、私にとってもう不幸の象徴でしかない。

今の私には……何の希望も未来もない。

家に帰る気にはなれなくて、ホテルの最上階のバーで一人お酒を飲むことにした。

酔って全部忘れたいのに……お酒は不味いだけで……私の望みを叶えてくれない。
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