能あるイケメンは羽目を外す
「大事な会議はすっぽかすし、社長や杉原さんも手を焼いてるのよ。あれだけのイケメンなのに惜しいわね。顔だけでもいいって子もいるけど……楓にはもっと誠実な人が良いわね」

「……もう恋愛はいいよ」

私は困惑しながら力なく笑う。

「ねえ、楓はさあ、家族が欲しくて片桐君の告白にOKしたんじゃない?本当に彼の事……好きじゃなかったんじゃないかな?」

章介の事を好きじゃなかった?

麗香の言葉を否定して、章介の事が好きってはっきり言えない自分にイライラする。

考えれば考える程、章介の事よりも自分が嫌になる。

「……わからない。今は何もわからないや」

瞳に暗い陰を落としながら言葉を濁す。

結婚が駄目になったのは章介のせいだけじゃないと思う。

私もきっと……悪かったんだ。

「きっといつか楓を本当に愛してくれる人が現れて……昨日の事を笑って話せるようになれるわ」
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