能あるイケメンは羽目を外す
麗香は優しく微笑むと、私の肩をポンと叩く。

……昨日の陽斗と同じ事言うんだね。

「……その前に、麗香が素敵な恋人見つけてくれないとね。麗香は理想が高いから」

私は作り笑いをして話を誤魔化す。

陽斗の事をもう思い出したくなかった。

昨日の事は……あれは夢だ。

もう同じ事は起こらない。起こるはずがない。

陽斗はうちの会社の専務だったけど……専務と仕事で接点はない。

大丈夫。ちょっと動揺しただけだ。

例えさっきみたいにすれ違っても……次はきっと平気でいられるはず。

もう余計な事は考えるな。

「幻滅しない男がいたら考えるわ」

麗香がフフっと笑う。

「厳しいね。じゃあ、私この書類を届けなきゃいけないから」

書類を掲げて見せると、私は麗香に軽く手を振り営業部に向かった。
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