能あるイケメンは羽目を外す
営業部に入ると、総務では聞かれない怒号が飛び交っていた。

章介の姿を探すが、彼の姿はない。

ホワイトボードの行き先表示板を見れば、章介の欄はT社出張、NRとなっていた。

その文字を見てホッとする自分がいる。

付箋にメモを書いて書類に貼り付けると、章介の机の上に置いて総務に戻った。

自席に着くと、私はポケットからスマホを取り出し章介の連絡先を呼び出すと、アドレスから削除した。

「……私の記憶からも……このアドレスみたいに簡単に消えてくれるといいのにね」

スマホの画面を眺めながら、フッと笑う。

昼食の時間が来たが、ランチを取らずにネットで賃貸物件を探していると、朝はずっと見かけなかった部長に声をかけられた。

「成沢くん、昨日は……その……残念だったね」

ちょっとふっくらした部長には、私と同じ年のお嬢さんがいる。顔はハンサムとは言えないが、残業の時は私が仕事を終わらせるまで帰らないし、部下思いの優しいおじさんだ。
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