能あるイケメンは羽目を外す

同じ総務部だけど、話した事もないのに……。杉原さんとはせいぜいメールを何通かやり取りしたぐらいだ。

これは偶然？それとも……。

「いろいろと不安もあるだろうが、杉原君は優秀だし、人望もある。彼の下でも君は立派に仕事が出来ると思うよ」

「でも……部長……」

「今環境を変えて仕事するのは、成沢くんにとっていい刺激にも気分転換にもなると思うよ。専務も……いろんな噂があるが、決して無能な訳ではない」

部長が優しく元気付ける。

「……断れないんですよね」

駄目だとわかっていても抵抗せずにはいられない。

専務に……陽斗に毎日会うような職場で仕事なんて……私の神経が持たない。

どんな顔して毎日会えばいいのよ。仕事なんか出来るわけがない。

「引き継ぎの事は、気にしなくていい。期末じゃないし、空いた時間に成沢くんの後任に教えてくれればいいから」