能あるイケメンは羽目を外す
「もちろんです。さあ、成沢さん、行くよ」

「え……ちょっと……待って下さい」

陽斗に手を引かれ席から立ち上がると、部長が陽斗に声をかけた。

「陽斗くん、約束は忘れるなよ」

陽斗くん?

部長は彼と個人的な知り合いなのだろうか?

「約束は守りますよ、園田のおじさん」

陽斗は部長の方を振り返ってフッと微笑すると、私を連れて会社を抜け出す。手はずっと繋がれたままだ。

陽斗に連れて来られたのは、おしゃれなイタリアンのお店。

個室に案内されて二人きりになると、私は彼に抗議した。

「専務、これは一体どういう事ですか?杉原さんの補佐が必要なんて話、嘘ですよね?何が目的ですか?」

「陽斗だよ。それに、今さら敬語って変じゃない、楓?」

「でも……約束が違います。一夜だけって言ったのに何故……」

「本当に他人の振りして欲しかった?でも、廊下で楓にぶつかった時、楓は悲しそうに僕を見てたけど」
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