能あるイケメンは羽目を外す
陽斗が私の目をじっと見つめながら、私の頬にそっと触れる。

彼に触れられると昨日の記憶が甦ってきてドキッとした。

「……あれは、まさか会社で会うなんて思わなくてびっくりしただけです」

私は陽斗から目を逸らし、彼の言葉を否定した。

「嘘が下手だね。何食べたい?僕が適当に頼んでいい?」

陽斗がテーブルの上のメニューを手に取る。

「……お腹空いてません」

「駄目だよ、ちゃんと食べないと。顔が青白いし、朝も食べてないんでしょう?」

「……専務には、関係ありません」

「強情だね。一夜だけって俺は納得してないよ。俺は楓を放すつもりはない」

陽斗は急に表情を変えると、メニューをテーブルの上に置いて私の顎をつかんだ。

怖い表情。

これは……誰?

今……陽斗は俺って言った。

昨日の優しかった陽斗とも……廊下でぶつかった時に作り笑いしてた陽斗とも違う。
< 49 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop