能あるイケメンは羽目を外す
自分が寝てる間にいなくなられるのはもうごめんだ。

幸運にも楓と同じ会社で良かったと思う。

もし……彼女を見つけられなかったら、知らないとこで彼女は一人倒れていたかもしれない。

そう考えただけでもゾッとする。

楓の顔をじっと眺めていると、彼女が「う~ん」と呻きながらゆっくり目を開けた。

「楓?」

意外と早く目を開けたことに安堵する。

楓は何度か目をしばたき状況を理解すると、ハッと血相を変えてすぐに起き上がろうとした。

俺はそんな彼女の肩に手を置いて彼女を制し、優しく諭す。

「駄目だよ。気を失ったんだから急に起き上がらないの」

「私……急に気分が悪くなって……」

「十分程気を失ってた。今はどう?まだ気分悪い?」

「……まだちょっと……」

楓が額を押さえて目を閉じると、店員がやって来て俺におしぼりを手渡した。
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