能あるイケメンは羽目を外す
このまままたキスして彼女の壁を崩してやろうと顔を近づけると、運悪く店員が現れた。

「あ……あの……スープとクラッカーお持ちしました」

気まずそうにそう呟くと、店員はテーブルにスープとクラッカーを置いてそそくさと去っていく。

「残念。あともうちょっとでキス出来たのに」

クスッと笑って見せると、気を取り直して楓に声をかけた。

「スープ、温かいうちに飲もう」

楓を起き上がらせ椅子に座らせると、スプーンにスープを掬って彼女の口まで運ぶ。

すると、楓は固まった。

「……あの……自分で食べられます」

遠慮がちに言う楓の言葉を無視して、彼女にスープを勧める。

「いいから、いいから」

「だから……自分で‼」

「いいから。楓はまず食べる」

有無を言わさず楓の口にスープを運んで飲ませていると、杉崎が現れ、それに気づいた彼女がハッと息を飲んだ。
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