能あるイケメンは羽目を外す
自分が入れるよりずっと美味しく感じる。

……温かい。身体が温まる。

「良かった」

陽斗が目を細めながら優しく微笑む。

「昔、亡くなった母親がよく作ってくれたんだ」

「……亡くなった?」

「小学六年の時にすい臓ガンでね」

「……そうなんだ」

こういう時ってなんて言ったらわからない。

変な慰めの言葉しか浮かばないけど……そんな言葉は聞きたくないはずだ。

「そんな顔しないの。もう昔の話だよ」

陽斗がフッと微笑しながら、私の髪をくしゃくしゃっと撫でる。

「しばらくはここでゆっくり休んでいるといい。何かあれば俺はリビングにいるから」

「ありがとう……」

私がうつ向きながら礼を言うと、陽斗は私の頭にチュッと口付け私と目を合わせる。
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