能あるイケメンは羽目を外す
あの日……私達家族は車で母の実家のある群馬に向かっていた。

私は後部座席に乗っていて、携帯でずっと友達とメールのやり取りをしてたら突然乗っていた車がフワッと浮き上がって回転した。

「え？」

スローモンションのように時間が流れて、持っていた携帯までもが私の手から離れて宙に浮いた。

そして、後ろを走ってた車と正面衝突。

強い衝撃と共に身体に激痛が走る。

それは、一瞬の出来事だった。

私が覚えているのはそれだけ。

事故の衝撃で私は意識を失ったらしい。

意識が遠ざかる前、父と母の断末魔の叫びのようなものが聞こえたような気がした。

それは……今でも忘れられない。

気づいたら病院のベッドの上に私はいた。

目を開けると、祖父母が悲しそうな顔をしていて、「楓ちゃんのお父さんとお母さんは死んだんだよ」って教えてくれると、二人とも私の目の前で急に声を上げて泣き崩れた。
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