能あるイケメンは羽目を外す
それを他人事のように呆然と見ていた私。

両親が死んだという実感もなかった。

私は運転席の後ろの席にいたからむち打ちだけで済んだけど、父と母は即死だったらしい。

二人の顔は判別がつかないほど酷い状態だったらしくて、私には父と母の死に顔を見ることは出来なかった。

最後のお別れも出来なかった。

だから、余計に両親が死んだという事実を受け入れられなかったのかもしれない。

葬式で全く泣かなかった私を見て、親戚のみんなは私の事を気味悪がったらしい。

母方の祖父母は私を引き取るのを嫌がり、父方の祖父母が私を引き取ってくれた。

父方の祖父母は私に優しくしてくれたけど……でもどこかお互い遠慮するような関係で……いい子にしてなきゃって……そればかり思ってた。

祖父母の家にいても、心が完全に休まることはなくて……私は神様を恨んだ。
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