能あるイケメンは羽目を外す
もういいよ……。

消えて楽になりたい。消えてしまえば、何も考えなくて済む。

「楓!起きて!」

何度も強く揺り動かされて、目を開けるとそこには顔面蒼白の陽斗がいて……。

「楓?大丈夫?凄くうなされてたよ」

ああ……夢だったのか。

でも……覚めない方がよかったかもしれない。

「悪い夢でも見てた?汗びっしょりだよ」

陽斗が心配そうに私の顔を覗き込む。

「シャワー浴びた方がいいな」

陽斗にそう促されてボーッとした状態のままシャワーを浴びると、籠の中に陽斗のものらしき部屋着が用意されてあった。

部屋着を手に取ると、微かにムスクの匂いがする。

「何で……こんなに優しくしてくれるんだろう」

部屋着を着てリビングに行くと、陽斗が私の髪が濡れてるのを見てとがめた。

「また髪乾かしてないよね。風邪引くでしょ」

ちょっと怖い顔で言って陽斗はバスルームからドライヤーを取ってくると、私の髪を乾かし始める。
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