能あるイケメンは羽目を外す
反抗心が頭をもたげる。

「だから……もうどうなってもいいって言ってるの!」

拳を握り締め、バンとテーブルを叩く。

お酒が駄目なら、誰かに抱かれればいい。

抱かれて……メチャクチャにされて……ボロボロになって……。心が廃人のようになればいいんだ。

そうすれば何も考えなくて済む。

「自分が何を言ってるのかわかってる?」

男性の口調が少し強くなる。

わかってる。十分わかってる。

私が今欲しいのは……今日の事を忘れさせてくれる男の人だ。

もう永遠なんて望まない。

たった一晩でいいから、一緒にいて欲しい。

「私みたいのじゃあ、あなたの相手にはなりませんか?」

男性の目を見ながらすがるように彼のスーツの袖を掴むと、彼は切れ長の目を少し見開いた。

「今夜だけでいいんです」

私は彼のスーツの袖を掴む手に力を込める。
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