能あるイケメンは羽目を外す

朝起きて陽斗に「おはよう」って挨拶された時は、目を合わせるのも恥ずかしくて「朝食作ります！」って言って逃げちゃったんだけど……。

「それにしても、楓が杉原さんの下について専務を担当するとはね。意外な人事だわ。何かいろいろと事情がありそうね」

麗香は杉原さんをチラリと横目で見やると、口角を上げる。

私が何も言えずに黙っていると、彼女は優しい目をして私の肩をポンと叩いた。

「楓の机は私の隣。わからない事があれば何でも聞いてね」

「ありがとう」

「副社長の担当の奈保は知ってるわね？」

「うん。奈保さん、よろしく」

私は副社長秘書の坂口奈保さんに向かって軽く頭を下げる。

彼女は私達の一年後輩だけど、ダークブラウンのカールした髪は天使みたいで、可愛いのになかなか有能だ。

「楓さん、こちらこそよろしくお願いします」

奈保さんが私に向かってにっこり微笑む。