能あるイケメンは羽目を外す
「自分の事は自分がよくわかってるからね。でも……そんなに楓が言うなら仕事してもいいよ」

陽斗が企み顔で微笑む。

……なんか嫌な予感。

一歩後ずさる私の腕を陽斗が掴む。

「会社でも二人の時は陽斗って呼んでくれたら、この書類片付けるよ」

陽斗の言葉に私は思わず不満の声を上げた。

「そんなあ」

仕事でも名前って……そんな無茶ぶり。

……杉原さんの苦労がわかる。

陽斗はなかなか手強い。

「駄目なら仕事しない」

ニヤリと笑って私の腕を離すと、陽斗はまたスマホのゲームを始める。

「名前で呼んだら本当に仕事するんですか?」

「もちろん。楓には嘘はつかないよ」

「絶対ですよ」

陽斗の目を見て念を押すと、彼はニコッと笑った。
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