能あるイケメンは羽目を外す
「うん。とりあえず書類は片付けるよ」

ん?とりあえず……?

その言葉に妙な引っ掛かりを感じながらも、私は覚悟を決め陽斗の要望通り彼の名前を呼んだ。

「……は……は……はると、仕事して下さい」

顔を赤く染めながらやっとの思いで呟く。

オフィスで名前なんて……何の拷問だ。

専務って呼ぶことで、仕事に少しでも専念しようとしてるのに……。

「う~ん、それじゃあ俺の名前じゃないみたい。もう一回読んでみようか?」

陽斗……楽しんでる。意外と意地悪なとこあるよね。

「ああ~、だから……陽斗、仕事して下さい!」

自棄になって叫びながら陽斗の名を言うと、彼はクスッと笑った。

「とりあえず合格。そのうち慣れてね」

「じゃあ、約束ですよ」
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