能あるイケメンは羽目を外す
私がトレーの上の書類を陽斗に手渡すと、彼は書類を受け取りまるでパラパラ漫画を見るようなスピードでサッと書類を眺めた。

「これ企画開発部の部長に全部戻しといて」

「え?これ全部ですか?」

私は驚いて目を見開きながらじっと陽斗を見る。

だって、見た感じ五~六件あるよね。

それが全部駄目なんて……。

「そう全部」

「でも……全然見てないじゃないですか!ちゃんと読んで下さいよ」

疑いの眼差しでギロッと陽斗を見たが、彼は全く動じない。

こんな適当でいいわけない。

「ちゃんと読んだよ。いいから部長に戻して」

「せめて、メモをつけるとかないんですか?このまま戻したんじゃ部長も訳がわからないですよ」

「わからなきゃ余程の馬鹿って事だね」
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