能あるイケメンは羽目を外す
「まずは彼女の笑顔を取り戻そう」

そう呟いて自分の心に固く誓う。

心から笑っている楓の顔が見たい。

彼女が悲しそうに笑うのを見るのは辛い。あんな顔させたくない。

一人になった専務室でそんな事を考えていると、ピピッとスマホのアラームが鳴った。

「会議の五分前か。どうしようか?サボると楓がカンカンに怒るだろうけど?」

さっきの楓の怒り顔を思い出し、思わず笑みが溢れる。

あんなに可愛く怒るならもっと怒らせるのも楽しいが、今日は仕事をするって約束したし……。

新参者の俺が会議を欠席しても何の影響もないし、むしろ会議の出席者にとっては好都合だろう。

だが、たまには出てやってもいいか。

スマホだけ持って専務室を出て会議室に向かうと、廊下でバッタリ翔馬と出くわした。
「お前も会議に出席するのか?」

余程意外だったのか、翔馬はそう言って眉根を寄せる。
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