能あるイケメンは羽目を外す
杉原からの着信。このまま放置したいところだが、スマホを操作して電話に出る。

「何?」

『社長が今晩夕食を一緒にとの事です。場所は後でメールで送りますから七時までに来て下さい』

杉原が秘書らしく淡々と用件を告げる。

「すでに予定があると言ったら?」

『今日の夜は何の予定もなかったはずですが』

杉原の声は冷たい。

「楓と夕食をと思ってたんだけどな」

ふざけた調子で言うと、杉原は冷ややかに返した。

『私用でしょう?社長との予定を優先して下さい』

「メンツは?」

『社長とあなたと私の三人です。逃げないで下さいよ』

いつもより厳しい口調で杉原が言う。

三人ねえ。親父は何を俺に言うつもりなのか。

杉原が社長に同行っていうのも、何か引っ掛かるんだよね。

「努力はするよ」

曖昧に答えて俺は電話を切ると、デスクの上の電話の受話器を取って楓を呼び出す。
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