保健室の眠り姫は体育教師の受難を夢に見る



別に二人にバレたことは何の問題もない。
目的が遂げられるなら、後で二人に怒られたって、最悪、嫌われたって構わなかった。

けれどそれも半分失敗が見えてる。
私は最後に望みをかけて、もう一度だけ尋ねる。



「……この先もない?」

「えー? 難しいこと訊くのね……。先のことは誰にもわかんないよ。でも今の私は久詞だけはない、と思ってるかなぁ」

「そんなにないんだ……」

「っていうかほんともう、糸島ちゃん意外とかわいいとこあるよね?」

「嬉しくない」

「あるはずないじゃない。だって、久詞は糸島ちゃんのものでしょう?」



思わず目を見開いてしまった。いけない。



「……みちるちゃんまでそんなこと言う」

「もう、ちょっと合わせるの飽きてきちゃったんだー。私は知ってるよ糸島ちゃん。市野久詞先生と、糸島小唄ちゃんは付き合っています」

「やめてよ‼」



自分で思うよりも大きな声が保健室に響く。はっと、カーテンの裏で誰かが眠っていないか、起こしてしまわなかったか気になって振り返る。
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