Do you love me?[短篇]
本当にどうしたのだろう。
いつもなら、私から箸を奪い取って猛スピードで食べ終わっちゃうはずなのに。今日に限っては一口も食べてくれない。
「…仁?」
「…いらねぇ。」
…え?
私の手から箸が落下した。
いらない
確かに仁はそう呟いた。
「でも、せっかく…」
「いらねぇってんだよ、もう二度と作って来んな。」
そう言って、
私の隣から立ち上がる。
「飽きたんだよ、もう。」
「え」
「お前にも、…学校にも」
いつもは向かい合って
食べるお弁当。
それが今日は…
ねぇ、仁。
背中しか見せてくれないのは何故?
どうして
「ま、待って!」
何だか分からないけど
引き止めなくちゃ、そう思った。
ここで何も言わないと
全てが終わるような、そんな気がした。
私はその場に残されたお弁当箱2つを持ち、仁の背中を追いかける。
「仁っ…!」
思いっきり手を伸ばして
仁の背中に触れた、その時だった。
「…触んな。」
バシっと払われた手。
そして、私の手の中にあった2つの箱が、ゆっくりと落下した。
ガッシャン。
大きな音が、響いた。