Do you love me?[短篇]
「…あっ…」
手を伸ばしたが無理だった。
…そう、届かなかった。
大きな音を立てて落下した
お弁当箱はそのままコンクリートに叩きつけられる。
散らばったお弁当。
…やっぱり、そうだった。
『飽きたんだよ、もう。』
『お前にも、…学校にも』
私は仁にとってその程度の存在だったのだ。もしかしたら、『幼馴染』そう思っていたのも私だけなのかもしれない。仁にとってはただの都合のいい女。
故に、飽きたられた私は
……必要ないのだ。
…どうしよう。
涙が出てきちゃった。
「…おい」
「…っ」
掛けられた声にビクリと体が反応する。次は、次は何を言われるのだろう。…これ以上、苦しくなるなんて嫌だよ。
そう思った瞬間、自然と体が
仁に背を向けてしまった。
…か、片付けなきゃ。
私はもう、食べられることの無い無残に散らばったおかずをお弁当箱へと戻す。
「…香奈枝」
「分かった。」
「は?」
…もう、終わりだ。
「もう作ってこない。…なんかごめんね、今まで。」
「…。」
「あんな不味い物食べさせちゃって。…家にも押しかけちゃって。でも、もうやめるから。」
「おい」
「良いよ、何も言わなくて。」
そう、何も言わないで。
涙が溢れてしまいそうだから。
「バイバイ、仁。」
私はお弁当を胸に抱え込み、
その場から…逃げた。