Do you love me?[短篇]
「あれ?…あんた遠田の女じゃね」
ポン、と叩かれた肩。
今度は力いっぱい掴まれた。
…痛っ
恐る恐る、振り返ると、
そこには何処かで見たような、金髪の男の人が立っていた。
「あ、あの…」
「やっぱそうじゃん。…へぇ」
ジロジロと私に視線を向ける。
もちろん、肩はまだ掴まれたままだ。
…なんか嫌な予感がする。
そう思った瞬間、体に寒気が走った。
「私、仁とはもう関係ないので」
「…は?嘘つくなよ」
嘘って…。
嘘だったらどんなに良いか。
しかも、初めから私は
仁の女でも彼女でもない。
「俺、遠田には借りがあるんだよね」
「…」
にやり、と不吉な笑みを私に見せると、肩を掴んだ手が私の手首に纏わり着いた。
「あんたが借り、返してよ」
「は?」
「…結構、俺のタイプだし、君。」
…気持ち悪い。
掴まれた腕も、痛い。
どうしよう。
とにかく、とにかく逃げなきゃ。
「…離してっ」
「あ、おい!」
一瞬の隙をつき、
私は掴まれていた腕を振り払った。
そしてそのまま無我夢中で走った。
…助けて。
今まで歩いてきた道を、
また引き返す形になってしまった。
「待てよ!」
「っ」
後ろから聞こえる声と、
足音から、私は必死で逃げた。