Do you love me?[短篇]



それでもやっぱり男と女。


奴と私に距離が出来たのは
たかが数十秒。



「…逃げんなよ」



結局追いつかれ、
再度私の手首の自由が無くなった。




…痛い
…怖い



ガタガタ震えているのは
恐怖からだろうか。


こんなのは初めてだ。




「…誰か」

「なに震えちゃってんの?…大丈夫だって」




そう言って、私の手首を掴んでいない、もう一方の手でスルリと頬を撫でられた。




…嫌っ



そう思っても、体が言うこときかない。
逃げ出したいのに、手首は先ほどよりも強い力で、痕がついてしまいそうな力で固定されている。




足も、震えて動かない。





「ふーん」


私の様子を見ていたその男が、
妖しい笑みを浮かべると、私を壁に押し付けた。




いつのまにか両手が固定されてしまっていて、妙に近い距離に冷や汗が流れた。





「…何するんですか」

「何って、分かんない?」




そう言って、近づいた距離。
そして向ってくる顔に、私はぐっと瞼を閉じた。




…もう駄目だ
助けて…仁っ




あぁ、私って本当に馬鹿。
仁なんて…いる訳がないのに。





< 17 / 31 >

この作品をシェア

pagetop