Do you love me?[短篇]
その空になったては迷うことなく私の手首を掴む。それはもう、手加減無しの強さで。
「仁、痛いって」
「…出てけ。」
ふわっと香るタバコの香。
それに気付いた瞬間にはすでに部屋から追い出されてしまっていた。
「仁の馬鹿!!」
「……」
もちろん、返事なし。
酷すぎる。この扱い。
そもまま部屋の前で待ってても良かったんだけど、仁のことだ。絶対に開けてくれないのは分かっていた。
だから、大人しく家路へと向った。
「もう、絶対早死にするよ!あんな生活っ」
ブツブツと文句が
口から漏れるのはもう癖なのかもしれない。
それでも、それでも
私が仁の傍に行くのは…
好きだから。
「…鈍感。」
「今日も遠田は休みか…」
出席率、悪すぎ。
このままじゃ留年じゃない。
SHR。
先生は毎日溜息。
「おい、加藤。なんとかしてやってくれ。お前だけだぞ、遠田とまともに会話できる奴は。」
「…。」
先生は訴えるような目で
私を見つめると、出席簿に×印を書き込んだ。
「香奈枝、担任のために人肌ぬぎなよ。あれじゃ可哀想すぎる」
「そんなこと言ったって…」
「遠田君、ほら、あんなんだし」
ビクビクと辺りを気にしながら
少し小声で私に耳打ちをする。
確かに。
中学からグレてたやつが、高校になって回生するわけもなく。仁は以前より磨きが掛かったように恐れられていた。
「私が言っても聞かないもん。」
「香奈枝~」
確かに、他の誰よりも私とは話をしてくれる。というか、半場呆れてるんだろうけど。それでも、それでも仁は私と距離を置く。
一定のラインから
入れてはくれないのだから。
「…いくら亮ちゃんを好きだからってなくことないじゃない」
「亮君困ってるんだもん」
亮君=担任
先生に恋するなんて私にはまねできない。