Do you love me?[短篇]
「無視すんなんて良い度胸じゃん。」
ぐっと掴まれた腕。
そしてフワっと香ったタバコの香り。
そして、私を見るその目。
「…何で」
「文句あんのかよ」
…文句なんて、
ありまくりに決まってる。
突き飛ばしておいて
傷つけておいて
何食わぬ顔で、優しく触れる仁が…嫌い。
凄く好きだから
なおさら辛い。
「…触らないで」
「…は?」
本当はこの手を掴みたい。
ずっと、ずっと隣にいたい。
でも…
「離して。」
私は無理やり仁の手から
自分の腕を引き抜いた。
好き。
凄く好き。
それでも私は弱虫で。
また傷つくことを恐れてる。
仁に突き放される自分なんて、
もう二度と想像したくない。
"飽きた"
そう言われるのが怖いの。
仁が私を見つめる。
真っ直ぐに。
私の腕を握っていた仁の手はまだ空に浮いていた。
「もう、良いよ」
…ならば、
私は仁の隣なんて望まない。
ただ、見ているだけで…良い。