Do you love me?[短篇]
「…もう良いから。」
守ってくれなくても、
無理やり学校に来なくても、
無理やりお弁当食べなくても。
だから、お願い。
"飽きた"なんてもう聞きたくないの。
これ以上涙を見せたくなくて
私は俯くように下を向いた。
「…香奈枝」
名前を呼ばれるのなんて
いつ振りだろうか。
こんな時に…
名前を呼ばれるなんて。
「迷惑掛けてごめん。…私、もう帰るから。」
なるべく笑顔で
そう答えたつもりだったのに。
「…帰すかよ」
「え…」
小さな仁の声。
その声が聞こえたと同時に私の体は強く、強く、身動きが取れないほどの力で締め付けられた。
…何、この状況。
「や、やめて!」
ドンドンと胸を叩いても
どんなに私が暴れようと
仁はその腕をどかしてはくれなかった。
「仁、お願いだから…」
「やめねぇよ…お前が、俺を好きだっつーまでやめねぇ」
ドクン。
な、にを言ってるの?
叩く手が自然に止まった。
それでも私を抱く力は変わらない。
「…冗談言わないで。」
「俺がこんな冗談言うと思うか。」
「っ」
耳元で聞こえる声は確かに仁の声。