Do you love me?[短篇]
冗談に決まってる。
…そう、冗談。
私が仁のことを好きだって言う?
言える訳ないじゃない、
そんなこと…。
「聞いてんのか」
「…聞こえない。」
仁の体温が心地良い。
私を締め付けるこの腕も、耳元で聞こえるこの声も、私だけのものだったらどんなに幸せだろう。
「…馬鹿か。」
「え?」
ふいにそう言われる。
…この雰囲気で馬鹿って…
ぎゅっと私の顔に押し付けられる仁の胸。
「一生、こうしてるつもりかよ」
「何言って…」
さらに力が加わり、
私は半分呼吸困難。
抵抗したって無駄。
逃れようとしても無駄。
全ては仁が握ってる。
道路のど真ん中で抱き合う私達。その横を通る人たちは皆、好奇の目で私達を見る。ソレが何だか恥ずかしくて。
「…みんな見てる」
「関係ねぇ」
「は、恥ずかしいの」
「…じゃあ、言えよ」
本気だろうか。
私が好きと言うまで、仁はこうしているつもりなのだろうか。
…仁の気持ちが分からない。
私が飽きたくせに
なんで抱きしめるのか
なんで好きと言わせるのか
「分からないよ…」
「は?」