Do you love me?[短篇]




自然と出た声は涙声で。
はっと気付いた時には声に出してしまっていた。




「何言ってんだ?」

「…あ…」



聞いてしまおうか。
…でも、聞いたら何かが終わるような





私の声に反応し、
ちらりと視線を下げ私を見つめる。



その瞳は真っ直ぐで
子供の頃を思い出すようだった。







「私…仁が分からない。」

「…」




ねぇ、何を考えてるの?
その瞳には何が写ってるの?





「…分からないの」

「…」

「何を考えてるのか、何を思ってるのか。」

「…」


今まで近くにいたけど
未だに仁が何を考えてるかなんて、私には分からなかった。



それが何だか寂しくて、
そして何よりも悔しかった。



「この前、屋上で飽きたって言われた時、本当に悲しかった。あぁ、やっぱり私なんて必要なかったんだって、もういらないんだって」


「…待て」


「お弁当だって下手だし、ケーキだって…私が勝手に作ってきて…馬鹿みたい。」


「待てよ」


私の腕を思いっきり掴む仁。
でも、私はもう止まれなかった。
…今までの思いが溢れて、溢れて


「幼馴染だと思ってたのだって…私だ…」






私だけ、そう言おうと思ったのに
その先の言葉が出てこなかった。



ふわり、とタバコの香りがしたと思ったら暖かくて柔らかいものが私の唇に触れたから。









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