Do you love me?[短篇]
「俺は幼馴染だなんて思ってねぇ」
それがキスだと気付くまで数秒掛かった。
…仁?
「…馬鹿の癖に変なとこは頭が回る」
「え…」
大きな仁の手が
私の頬に触れる。
「聞きてぇかよ、俺の…気持ち」
「…っ」
そしていつもとは違う、少し色っぽい声で私に囁く。
「…何で俺様があんな糞みてぇな学校今まで行ってるか」
「何で弁当作らせてたか」
「何でお前が倒れた時、丁度よく傍にいたのか」
仁は誰とも一緒にいない。男友達もいなければ、女の子と一緒にいるところだって今まで一回も見たことが無い。
誰かに話しかけることだってない。…話しかけられても、ほとんどの場合はシカト。考えてみれば、仁が誰かと会話するところなんて今まで一度も見てはいなかった。
…でも、私には違った。
冷たかったけどきちんと返事を返してくれた。聞いていないようで、しっかりと私の話も聞いてくれていた。
「っ」
ねぇ、それって…
せっかく止まりそうだった涙がまた溢れ出す。
「…ちっ。」
そんな私を見て、
小さく舌打ちをした仁。
「いい加減言え。…俺がいねぇと駄目だって、俺の隣にいたいって、俺のことが好きだって言えよ」
「…仁」
「…。」
初めてかもしれない。
こんなに仁が自分から話をするのは。
自分の気持ちを私に伝えようとしてくれるのは。
「私は…」