Do you love me?[短篇]
「ずっと前から…」
今なら言えるかもしれない。
素直に、なってもいいのかな。
自惚れても良い?
仁が、仁も…
「好きだよ。」
ゆっくりと仁の背中に手を回し、抱きしめる。仁に自分から触れたのなんてもう何年も前のこと。
仁の背中は大きくて、
抱きしめるには私の腕の長さが足りなかった。
「…初めからそう言え」
「だって…」
「だっても糞もねぇよ。あんな男に捕まりやがって」
あんな男とは
さっきの人のことだろうか。
別に捕まってたわけじゃ…
それよりも、大事なこと。
忘れるわけにはいかなかった。
「それより、仁は…私のこと飽きたんじゃないの?」
自分で言うのも何だか寂しくて。
自然と声が小さくなってしまった。
「…飽きてねぇ」
「でも!」
「飽きてねぇっつってんだろ!」
ビクリ
仁の大きな声に肩が上がる。
「…わり。」
「う、ううん。大丈夫。」
さすがに耳元で仁の大声は驚く。
仁の手の力は未だに弱まらなくて。
抜け出そうにも抜け出せない。
「…飽きるわけねぇだろうが。お前みてぇな馬鹿、他にはいねぇからな。」
「なっ…」
「良いか、馬鹿は馬鹿らしくさっさと寝ろ。…倒れるとか洒落になんねぇぞ」
あ…もしかして。
仁は気付いていたのだろうか。
お弁当とデザート作りで
私が寝不足だったことを。
そして、そのせいで倒れたことを。
だから…
「…やっぱり仁は優しいね」
「お前の目は節穴か。」