Do you love me?[短篇]
今まで仁の体に包まれていたせいか、その風がやけに冷たく感じた。…そして、自分から言ったくせに何故か凄く寂しかった。
「…私」
「あ?」
幸せと同時に不安が私を襲う。
私は仁に似合ってるだろうか。
隣にいて迷惑じゃないだろうか。
「りょ、料理下手だし」
「だから何だよ」
「そ、その可愛くないし」
「んなの前からだろ」
「スタイルだって」
「…何が言いてぇんだ?」
一度掴んだら離すことなんて出来ないんだよ。
仁の温もりを
仁の優しさを
覚えてしまったら…
「それでも…良い?」
「馬鹿が。」
仁の顔が見れなくて、俯いていた私の手を仁が掴む。そして、簡単に自分のもとへと引き寄せ肩を抱いた。
「…え」
「それがお前だろうが。」
大きな体と
タバコのにおい。
そして、仁の言葉。
全部が私を包み込む。
「…黙って傍にいりゃあ良い。」
「…ふぇっ…」
「分かったかよ」
涙で上手く言葉が出なくて、
私は必死で頷くことしかできなかった。
「…ちっ、面倒な奴。」
仁の少し呆れた、困った声とともに私の頭を優しく撫でる仁。
「…好きぃ」
「分かったっつの」
私は涙を流しながら
必死でその大きな体に抱きついた。