Do you love me?[短篇]
「お願い!電話するだけでも良いから!!」
「もうっ」
仁がきて喜ぶのなんて
私と先生くらいだわ。
他の人は来ない方が安心して生活できるみたいだし。
腕に纏わり付く理紗。
私はしょうがなくポケットの携帯に手を伸ばした。
「…もしもし?」
「朝っぱらから電話すんな、馬鹿。」
少しの呼び出し音の後から聞こえたのは、寝起きの仁の声。
「仁、学校来なよー」
「…嫌だね」
「このままじゃ留年じゃんか」
「どうでもいい。」
ほらね。
私の言うことなんてこれっぽっちも聞いてくれない。
隣ではキラキラと目を輝かせて私を見つめる親友。
「仁」
「あぁ?」
「来ないと毎日家に押しかけるよ?」
「…」
プツリ。
…切りやがった。
携帯からは虚しくも機械音が流れた。
「ほらね、駄目。」
「香奈枝の力で持っても駄目なら、もうどうしようもないじゃない!!」
私の力って…
私はそんな偉大な力なんてもってないのに!
大体、仁も仁だ。
自由主義すぎるのよ。
待ち受け画面に変わった携帯を元のポケットに戻し、代わりに机から教科書を取り出した。
「ほら、授業始まるよ。亮クンの授業!」
「あ、そうだった!!」
すくっと立ち上がると、
頬をピンクに染めて自分の席へと戻っていった。
ちらり、と隣を見ると
誰も座っていない席。
先生が無理やり私と隣にしたのは仁。こうでもしなきゃ、他の生徒が可哀想だって。みんな、仁のこと怖がりすぎにもほどがある。
「だからって、3年間隣の席って…」
嬉しいけど、寂しい。
だって、ほどんど学校に来ないんだもん、仁。
キーンコーンカーンコーン。
授業を知らせるベルが響いた。