Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜

1 高校入試と免許証





 卒業式の日は、忘れられない日となった。

 三月だというのに、とても寒い日だった。風花が舞い、雲の切れ間からの陽射しが降り注ぐ中で、


「好きです……」


と、遼太郎はみのりに告白した。


 高校の日本史教師のみのりと生徒だった遼太郎が落ちた恋は、〝禁断〟と呼ばれるものだった。

 絶対に「叶わない」と思っていたみのり。絶対に「叶えたい」と思っていた遼太郎。


 どちらも立場の違いに苦しんだ。
 十二歳も年下の生徒に恋をするなんて、みのりは罪悪感さえ感じていた。ずっと心の中に想いを閉じ込めて、生きていくつもりだった。
 いつも教師として前を歩くみのりに恋をした遼太郎は、早く大人になって追いつきたくて、ひたむきに頑張った。


 やっと想いが通じ合ったのは、卒業式の日。
 立場の違いという柵(しがらみ)から解放されて、初めてキスを交わした。

 ……その日から、遼太郎はみのりの恋人になった。
 十二歳の年の差を越えて――。


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