Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
それでも、遼太郎のためには背に腹は代えられない。意を決して加藤に切り出して何とか休みを取り、みのりが遼太郎に連絡が出来たのは水曜日の夜だった。
遼太郎が東京へ発つ週末まで、あともう二日しか残っていない…。
『連絡が遅くなって、ごめんね。なかなか仕事がはかどらなくて…、休みが取れたのは、金曜日の離任式の後から夕方までなの。それでもいい?』
みのりからのメールの着信音が鳴ると、荷物の整理をしていた遼太郎は弾かれたように立ち上がり、机の上に置いてあったスマートフォンを手に取った。
「金曜日…。」
思わず遼太郎はつぶやく。
次の日の朝には、遼太郎は母親と共に東京へと向かわねばならない。
ギリギリになってやっと…ということは、本当は仕事が忙しくて大変なのに、無理をして休みを取ってくれたのだと、遼太郎は察した。
『金曜日でも、大丈夫です。山崎先生が離任するので、俺も離任式に行く予定です。』
遼太郎は手早く画面をタップして、返事を送る。
しばらくそのまま、みのりから返事が来るのを待っていたが、5分たっても返ってこなかったので、やり取りはこれで終わりかと、遼太郎はため息をつきスマホを置いて荷物の整理に戻った。