Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「遼ちゃん……。あなたの未来には、きっととても広い世界が広がってる。そして、その世界を知って、あなたはあなたの力で、自分の世界を切り拓かないといけないの。これまで、高校っていう狭い世界の中で、私はあなたの成長のために役に立てたけど、これからはそうじゃない。物理的な距離は離れていても、私が心に寄り添っていると、あなたの思考や行動の指標は私になってしまうでしょう?何かを決断するときに、私の存在が影響するでしょう?そうやって、あなたを縛りたくない。私がいるせいで、私があなたの足かせになって、あなたの可能性を狭めたくないの。」
切々と語るみのりの言葉を、遼太郎は黙って聞いていた。
その言葉を噛みしめて、遼太郎は首を振る。
「…そんなことありません!先生が足かせだなんて…。俺、今までだって、先生がいてくれたから頑張れたし。これからだって…!!」
みのりが自分から離れていこうとしているのを、遼太郎は何とかして引き留めたかった。
けれども、このみのりの言っていることを覆せるだけの言葉を、未熟な遼太郎は持ち合わせていない。
「ううん。私がいなくても、頑張れる人にならないとね。だから、そうしないとダメなのよ。……それにね。」
と、みのりは少しためらった。
それを言うべきかどうか迷うように唇を噛んで、思い切って口を開く。