Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「ここで、あなたを私から自由にしてあげないと、私は一生自分を責めて生きることになる。
一生あなたは私の側にいてくれるかもしれないけど、あなたは本当に幸せなのかって、ずっと疑いながら一緒にいなきゃいけなくなる。」
遼太郎は息を呑んだ。
みのりの言葉に衝撃を受けて、立ち尽くした。
これから自分の存在が、みのりの苦しみを生むなんて……。その現実を突きつけられて、遼太郎は体を震わせた。
深い哀しみをたたえた目で、遼太郎はみのりを見返す。
その目を見て、みのりは遼太郎を傷つけてしまったことを悟った。それを自覚すると、罪悪感と愛しさが募って、封印している涙が暴れ出してきそうになる。
――…ダメよ!泣いては!!…絶対に。
泣いてしまったら、また遼太郎は『東京へ行かない』と言い出すかもしれない。
みのりは歯を食いしばって、腕組みしている手に力を込める。懸命に感情を制御して、気を取り直すように少し明るい声で言葉を続けた。
「これからの大学生活は遼ちゃんが生きていくうえで、すごく大事な4年間だから。自分のことは自分で考えて、たくさんの人と出逢って、いろんなことに挑戦して自分を高めるの。女の子とだって、ちゃんとお付き合いするのよ。やっぱり何人かと付き合ってみなくちゃ、女の人のことも理解できないし…。」