Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりの明るい声にも遼太郎の表情は晴れず、眉間に皺をよせ唇を震わせている。
その哀しみを一掃するように、みのりは敢えて満面の笑みを作った。
「これが、私が出す最後の宿題よ。頑張って、ちゃんとやるのよ?」
みのりの笑顔と明るい声を受けて、しばらくの間、遼太郎はじっとみのりを見つめていた。
哀しみと諦めの入り混じった眼差しで……。
みのりも目を逸らさずに笑顔のままで、信念を持って遼太郎を見つめ返す。
春の日の優しい夕陽が、遼太郎の背後を照らし出し、まるで遼太郎の行く道を示して守ってくれているようだった。
そして、遼太郎がようやく口を開く。
「先生の言う通りにして、それでも俺には先生しかいないって分かったときは、先生のもとに戻ってきていいですか…?」
みのりの笑みが、少し薄くなる。それでも、その笑みを壊さずに、ゆっくりと首を横に振った。
「それで、『いい』なんて言ったら、ここでの決意が無駄になるわ。私は待ってなんかないわよ。それに、私は私の道を独りでもしっかり生きていけるから、心配しないで。」