Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
もう二度と、会えないかもしれない……。
不意にその現実に突き上げられ、振り向いてみのりの姿を確認したくなる。『振り返っちゃダメ』というみのりの言葉を思い出して、必死でそれを思い止まろうとした。
それでも、もう橋が見えなくなるという場所まで来て、やっぱり我慢が出来なくなり、遠く橋の方を振り返る。
みのりは橋の中ほどまで来て、遼太郎を見送ってくれていた。
川沿いに咲く桜の花の淡いピンクを背景に、赤いカーディガンを着たみのりのたたずむ姿。
その光景は、一瞬で遼太郎の網膜に焼き付けられ――、遼太郎が目を閉じるといつでも、まぶたの裏に浮かび上がってくる像となった……。